精神分析的な臨床実践には,知的な学習と,体験的な学習が必要だと言われています。
精神分析研究会・神戸では,知的学習として,幅広い理論や技法に触れるための系統講義,重要論文を精読する文献講読という2つのプログラムを用意しています。
体験的学習としては,事例の検討が中心となります。多様な事例に触れることのできるセミナーの事例検討と,少人数でのグループスーパービジョンがあります。
2024年度講義テーマと内容
広島精神分析医療クリニック
大阪教育大学保健センター
講義テーマ「現代のヒステリー:解離と身体化を理解する」
ヒステリーという病名が姿を消しても、ヒステリー者は変わらず存在します。本講では、ヒステリーの現代的意義とその内的対象関係の本質について、特にトラウマとナルシシズムの理解と治療に焦点化して解説します。
小林メンタルクリニック
講義テーマ「摂食障害」
Bionは「経験から学ぶ」のほぼ冒頭で、「乳児は乳房から母乳その他の快適な環境を受け取る。それだけではなく愛、理解、癒しもである」と書きました。摂食障害はこのようなよいものの「取り入れ」ができなくなる病理であると考えられます。本講義では、取り入れを邪魔する要因を描き出し、治療の展開に何が必要になるかを皆さんと共に考えたいと思います。
Tavistock Clinic
講義テーマ「精神病水準の理解と介入」
このセミナーでは、まず精神病状態についての精神分析的理解について、その情緒的・身体的な体験の側面を中心に考え、分析的治療の中で、どのように患者とかかわっていくことができるのかについて議論していきたいと思います。
御池心理療法センター
講義テーマ「抑うつ状態 ー 対象喪失、主体性の萎縮、自己の喪失」
抑うつ状態は、フロイトの「喪とメランコリー」以来、精神分析において理論と臨床の重要な関心であり続けています。本講義では、対象喪失から、自己の喪失に至るまで主体性という観点から抑うつ状態について検討していきたいと思います。
上智大学
講義テーマ「境界水準の理解と介入」
境界水準のパーソナリティの問題を抱えた患者さんは臨床現場でもっと頻繁に出会う患者さんであり、その病理をよく理解することは必須です。本セミナーでは、その機能水準や構造化の多様なあり方、さらには介入法についてお話しします。
紙屋町こころのクリニック
講義テーマ「ナルシシズムの組織化と心的退避、倒錯」
Klein派ではナルシシズムは投影性同一視の概念と対になって発展して羨望の概念に結実し、さらにRosenfeldの破壊的自己愛を経てSteinerの心的退避の概念へと至りました。これは重症例の理解に大きな助けとなっています。
代官山心理・分析オフィス
講義テーマ「ADHD」
ADHDは神経科学的な基盤があって一定の特徴と経過を有する疾患で、中核症状は正常からの量的偏移として捉えられています。障害に入らない程度のADHの質的特徴は、養育因やパーソナリティの問題と区別が困難ですが、〈容器〉-〈内容〉という精神分析的な関係性の観点からの理解についてお話しします。
新大阪心理療法オフィス
講義テーマ「何が精神分析的アプローチの対象か?」
精神分析的なアプローチは、個人心理療法は勿論、それ以外の場面で経験する困難さを理解するうえでも活用できます。皆さんも自分自身の体験を思い浮かべながら参加してください。改めて共に考えてみましょう。
大阪経済大学・大学院
講義テーマ「子どもの虐待と愛着障害」
幼少期に虐待を受けたり、ネグレクトの環境下で育ったりする経験は、子どものこころの成長に、どのような影響を与えるのでしょうか。そうした子どもは、他者との間に安定した愛着関係を築くことができるのか、考えたいと思います。
沿 革
関西精神療法研究会(KSK)の立ち上げ
小林和(精療クリニック小林院長,第47回日本精神分析学会実行委員長)が関西初の精神分析セミナーである「関西精神療法研究会(KSK)」を立ち上げた。
第1回講師は西園昌久,第2回は小此木啓吾であった。参加者は最多で150人を数え,関西地区における精神分析のリーダーを多数輩出する母胎となった。
精神分析研究会・神戸 発足
関西精神療法研究会と神戸大学および兵庫教育大学の精神分析研究グループが合併し,「精神分析研究会・神戸」が発足した。
小林俊三が研究会代表に就任
運営委員:
小林俊三(代表)
櫻井興平
辻河昌登
馬場天信
星野修一
松村博史
守田敦子
運営委員:
小林俊三(代表)
飯塚暁子
越道理恵
齊藤幸子
松村博史
講義テーマ「パーソナリティ内部の構造論」
これは第二次世界大戦後の英国における統合失調症、重症の境界例を対象に治療を行った、Bion, Rosenfeld, Steinerなどのパーソナリティ論である。