ねずみ男は重度の強迫症状でさえヒステリー症例で試みたのと同じ技法で父親転移を扱い治療可能であることを論文では証明した。ところが実際の面接記録で前景化する母親転移と母親への同一化が全く扱われていない。この問題について考えてみたい。
【参考文献】1)フロイト,S. (1909). 強迫神経症の一例についての見解(症例「鼠男」).岩波書店(10),2008
2)衣笠隆幸.(2005).転移―愛と憎しみの精神分析.現代のエスプリ第442号 3)Mahony, P. J. (1986). Freud and the Rat Man. Yale University Press.



